恩師、ピアニスト Piers Lane

photo:Clive Barda
大学時代から、Piersはピアニストとして忙しくて、特に私が大学3年、4年になると年の半分は、ツアーで不在だった。
それでも、オーストラリアから電話がちゃんと私が練習しているかチェックしてくれたり、飛行機の中で、私が次に学ぶ曲を考えていたんだといって、フランク「プレリュード、フーガと変奏曲」をくれたり。
アカデミーを終え、経済的に大学院に進むことは難しく、Royal College of Musicの全額奨学金がもらえなかったので一年、ホテルでピアノを弾いたりなんだりしてなんとか食いつないでいたときのこと。
ヴィザが切れる!
英国に居るには、学生であるという証明をしなくてはならないのだが、そのためには、いろいろな手続きが必要で、その一つに銀行にある程度のお金があることを証明しなくてはいけない。
私には、そんなお金はなかった。
それどころか、学生ローンがあるのみ・・・赤字である。
そんなとき、Piersは、気前よく、ポーンと3000ポンドも貸してくれたのである。
これで、証明しなさいっと。
それだけではない。その後、Joan Havillというギルドホール音楽院の先生を紹介して下さったり、デュオを組むようになってからはデュオも何度か聞いてくれている。
もちろん、私のソロのデビューのコンサートにもかけつけてくれたし、いまだに私は、プライベートのことでも相談に乗ってもらっている。
そんなPiersは、本当に多忙なので、なるべく電話などしないようにしているのだけれど、たまたま、数週間前に電話したら、おお、いらっしゃった!
そして、ディナーに来てくれるということで、もう何日も前からメニューを考えに考えた私・・
ピアニストとしては、もちろんのこと、それだけでなく、私が尊敬するところは、彼の生き方、キャラクターそのものだ。
社交的で誰にも好かれる彼。知的でかつ、ちょっとミステリアスなところもあるし。
誰がみても、チャーミングすぎるその性格、もう10年以上前だろうか、カールでくりくりの金髪だった彼が髪の毛をバサッと切ったとき、周囲から泣き叫ぶ声が聞こえたそうである。
ファンのおばちゃんの中には、「罪よ、そんなの!」と言ったとか。
獅子のように彼が弾く姿が懐かしいが、今の彼の姿も最高である。
BBC ラジオ3の番組を持っていたこともあり、ピアノの世界に関しては、ものすごい知識を持っているし、コンチェルトなんて40曲以上レパートリーにあるんだから、超人である。
そんな彼は、遊ぶことも、ファッションにも手を抜かない。いつもものすごいお洒落で、昨夜も、素敵なスーツで登場。
私=ジーンズ、である。><
こんなに可愛がってくれる師がいて、私は本当に幸せ。
今週はね、日曜までコンサートがないから、毎日のように社交しているんだ。楽しいけれど、結構これも疲れるよね、っと嬉しそうに話す彼を見ながら、本当にこの人ってすごいなあっておもう。
日曜は、よくデュオで演奏するヴァイオリニストのTasmin Littleとサリー大学で演奏するとのこと。
「ああ、あそこね、ホールのロビーに私たちのデュオの絵があるらしいの。2年ほど前にレジデントのアーティストが私たちが演奏中に描いてくれた絵で、飾ってあるからいつでも見に来てくださいと言われてるんだけど、まだ見てないのよ。」
そう言ったら、
「じゃあ、見てこよっと。楽しみだよ」
こんなに楽しい夜は、本当に久し振りだった。
来年の彼のウィグモアホールを今から首を長くして待ってる私。
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